「日本列島改造論」が復刻されました。

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「日本列島改造論」(田中角栄)という本があります。


世間的には代表的な田中角栄の本ということでよく知られていますが、古本屋としては有名な絶版本として、また入手すれば必ず売れる本として知られていました。


古書の世界では「こういう本をどれだけ知っているかが古本屋の財産」と言ってはばからない人もいるようで、私も若干そう思うところもあるのですが(個人的には売れない本を知っていることも重要だと思います)、この本はさすがに有名すぎることもあって、古本屋の集まりでもそれほど話題になることはありませんでした。


当時(昭和47年)の定価が500円となっていますので(安い!)、今では当然それよりも高く古本屋で売られていました…。そう、売られていました。今年の3月までは。


私も事前の情報がなく、本屋さんで見たときはビックリしました。復刻版が出ている!「ユダヤの商法」(藤田田)以来の衝撃です。あまりに驚いたため、気づいたら本を片手にレジの前で並んでいました。


読んでみると内容は当時と変わっておらず、追加されたコンテンツは巻頭の田中真紀子の「復刊にあたって」の序文、それと巻末にある田中角栄の経歴の2つです。旧版から削られた箇所は見当たりません。そしてISBNも追加されている。


定価は当時とは物価が違いますので500円ではなくなっていますが(税込み1,980円)、ただこの復刊によって完全に旧版を買う必要はなくなったと思われます。


名著が復刻される…こんな時にしか取れない栄養があるのかわかりませんが、こういう時はなぜか嬉しいものです。

はなひ堂ブログ 2023年6月23日