懐かしい再開

7年前にこの仕事を始めた頃、ポスティングをしていたことがありました。


その当時はどうしたら買取りの依頼を頂けるのかわからなくて(今でもよくわかってないのですが(^_^;))、とにかく電話を頂くためにはどうしたらいいのかと考えて思いついたのがポスティングでした。


自分で作ったチラシを持って新潟市内を自転車で周りながら一軒一軒ポスティングしていました。


数万枚ほどポスティングして何件かご依頼を頂いたのを覚えています。


そして数万枚入れて何件かというのでは全く仕事になりませんので、それから別の方法を考え始めることになったのですが、初めに作ったチラシはとにかくめちゃくちゃでした。


なにしろ本の買取りとはどういったものなのか全くわからない状態で、なおかつ当時イラストレーターはおろかペイントすら起動させたことのない私が作ったので、そんな状態で作れるチラシといえば「電話番号」と「本をお売りください」ということだけが辛うじて伝わるというような凄まじいチラシでした。


デザインのセンスとかそういった話ではなくて(その辺は今でもないのかもしれません)、内容がほとんどないチラシ。


数件とはいえ、そんなチラシでよくも電話をかけてくれる人がいたものだと不思議でしょうがありませんが、もしかしたら「電話番号」と「本お売りください」以外にも「古本を扱って仕事にするんだ!」という気迫も少しだけ伝わるチラシだったのかもしれません。


それから何度かチラシを更新させて、今はもう少しマシだろうと思われるものを使っていて、それらはもはやあの当時の面影はありません。


今はあの時よりもどんなことをチラシに書けばいいのかわかっているような気もしますし、7年も経っているということはそういうことなのだと思います。


とはいえ最初に作ったチラシは忘れようがなく、今でも鮮明に思い出せる…というわけでもなく、現物もデータも無くなってしまった今となってはぼんやりとした記憶をたどるしかありませんが、ただただ言えることは一言「内容がない」に尽きます。


話は変わりますが、今年の2月も例によって出張買取依頼の少ない月でした。


新潟の2月は買取りの少ない月で、今年は降雪も少なかったので多少はマシなのかなと思いましたが、やはり例年と同様に少ない月でした。


厳しさを感じながら過ごしていましたが、2月半ばに大きめな出張買取の依頼を頂けました。


当日お宅に伺うと、本棚数本が全て埋まっていて、お値段の付く本も多くありました。


これでなんとか2月は過ごせそうだと思い、本当にありがたく涙が出そうになります。


お客様に今後の流れを説明して、作業に入らせて頂きました。


2月は本当にご依頼の少ない月で、とてもありがたいです。お礼を言ったあと、当店の出張買取はサイトでお知りになったのですか?とお聞きすると、「いや、何年か前にチラシが入っていたのを取ってあって、それで電話をかけたんだよ」とおっしゃいます。


それを聞いて私は少し嫌な予感がしました。そのお宅付近には数年間折り込みチラシを入れた記憶がありませんでした。


ちなみにどういったチラシですかと恐る恐るお聞きすると「ちょっと待ってて」とおっしゃってチラシを持ってきてくださいました。


そのチラシには内容がなく、電話番号と本をお売りくださいという文言と若干の気迫のみが伝わる、なつかしいチラシでした。


それを見たときに、自分はいったいなんという商売をしているのかと呆然としてしまいました。


7年越しにチラシ効果が発生して、それはよりにもよってあの気迫だけで作った内容がスカスカのチラシからでした。


みなぎる情熱のみで新潟市内を自転車で1軒づつ周りながらポスティングしていた時には、それが7年後の2月に当店を助けてくれることになるとは思ってもいませんでした。

はなひ堂ブログ 2019年3月23日