突然紛れ込んでしまったトゥーサン的世界

また例のごとく出張買取の合間にブックオフの中でブラブラしていると、ジャンフィリップ・トゥーサンを発見しました。


トゥーサンは若かりし日に読んで衝撃を受けた小説の一つで、といってもその内容は「ユルい」の一言で、過激な描写もなければスリリングな展開もなく、ただ淡々とストーリー(というほどのものではない)が流れていく中でユーモアが漂うという、衝撃という言葉とは程遠い小説なのですが、その徹底した「ユルさ」にラディカルな印象を受けたというのが衝撃の理由です。長い…(^_^;)。


11月初めということもあり買取りでバタバタしている時期でもなく、出張買取と出張買取の間に時間があり、その時間をどうやって過ごそうかと思っている自分がまさにトゥーサン的世界にマッチしているように思い、棚の前でふと立ち止まります。


おそらく実家に行けばある本なのですが、今読まなければいけないと思い3冊あったトゥーサンを全て購入しました。


まずは「ムッシュー」を手に取ってペラペラとめくります。


確か子供が出てきてごちゃごちゃする話だぞと記憶にはあるのですが、そんな話ではなくムッシューさんの淡々とした日常がコミカルに(リズミカルに)流れていきます。


読んでる最中に、あ、これはトゥーサンの最高傑作なのかもしれないと思いながらページをめくっていたのですが、確か「浴室」を読んでいた時もそんなふうに思った記憶があります。


飽きがこないずっと読んでいられる文章、のような気がするのですが150ページで終わってしまいます。もしかしたらこれでちょうどいいのかも。


終わりの解説を読んでいますと「資料を提供してくれた堀江敏幸君に感謝」のように書かれているくだりがあり、この本はデビュー前の堀江敏幸が関わっていたのかふむふむと思ったり。


本日は出張買取2件。


比較的ヒマと言ってもいい時期に2件も重なるのは珍しいことです。


東区で画集等の買取り後、北区へ向かいました。


最初の買取りでは新潟関係の画集や大型本をお売り頂き、買取の間に世間話をチラホラと。


自動運転やドローンの話などが出て、私のほうは「ドローン」という言葉になぜかとらわれてしまって、「なんでドローンという抜けた名前なんですかね」「うーん、なんででしょうね」という生産性のない話にお客様を巻き込んでしまいながら買取りは終わり(すみませんでした(^_^;))、その流れでトゥーサンを発見するに至った次第です。


出張買取かと思っていたら、なぜか迷い込んでしまったトゥーサン的世界。


100冊と電話口で聞いていたのに、お宅に着いたら2,000冊あったり、歴史の本が多いですとおっしゃっていたのに実際は数冊の着物の本で査定額の大半が作られたり、出張買取はいつもミステリアスです。


なのでどんなことにも柔軟に対応するスタンスでいますし、色々なケースに対応できるのも出張買取の良いところなので、何かございましたらお気軽にお問合せ頂ければと思います。


本日は本をお売り頂き、ありがとうございました!

はなひ堂ブログ 2018年11月9日